ハズレでも撫でさせてやるよ | 街を歩けば そこに猫

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とある路地。
猫さんの姿を見かけました。

ご飯待ちでしょうか?

ん?近くにも気配を感じます。
右を見てみると…
『しまった!見つかった』

『姐さんに報告しに行こう』

トコトコ歩いて行く尻尾の短いキジ白さん。

向こうからは尻尾が長いキジ白さんが歩いて来ます。

『姐さん、ご飯の人じゃない人が来ましたよ』

『なんだい、あの人はハズレだって言うのかい?』
『どう見たってハズレって顔でしょ!』

こらこら、ひそひそ話が聞こえていますよ!

『まぁねぇ、あの顔はどう見てもハズレだけど…』

『猫の事は好きそうな顔してるよねぇ』

『どれ、ちょっと確認しに行ってみようか』

自分に寄ってきてくれた、尻尾の長いキジ白さん。

『ほら、ちょっと撫でてみなさいよ』

あ、はい。撫でさせて頂きますね。

撫で撫で撫で…

尻尾にピントが合っちゃった。

『なかなか良い撫で方するじゃない』

『このおっさん、食べ物持っていないけど撫でるのは上手いよ。撫でてもらいな』

『いやぁ、知らないおっさんになでられるのはちょっと…』

『黒はどうだい?撫でさせてやりなよ』

『え?撫でられるよりご飯がいいなぁ』

『そっちの黒は?』

『ご飯だと思って出てきたのに…おっさんには用はないです』

あらら、やはり皆さんご飯待ち。
食べ物を持っていないハズレのおっさんには用は無いようです。

『ごめんね。みんなご飯に集中したいんでね。また来た時に撫でさせてあげるから』

これからご飯の猫さん達。おじゃましては悪いですからね。
この路地から立ち去る自分。
そんな自分を、尻尾の長いキジ白さんが見送ってくださったのでございました。

 

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