表情豊かな茶トラさん | 街を歩けば そこに猫

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とある路地。
マンションの階段の手摺で茶トラさんがくつろいでいました。

何度か登場してもらっている茶トラさんです。

『あの人は…何度か撫でられてる酒臭いおっさんだ』

茶トラさんも気がついたようです。

指を出してご挨拶しましょう。
『指しか出ないんかい!』

はい、指しか出ません。

『何度か会ってるんだからさ、おやつとか出ないの?』

出ません!

『そう言わずにさぁ、こうやってペロペロ舐めるおやつとか…』

出ません!

でも…手が出ます!
『うわっ!』

『急に撫でないでよ!』

と言いつつも、気持ちよさそうに顎を上に向けて撫でられる茶トラさん。

バランス崩しそうで危ないですよ!

『んじゃバランス崩さないように撫でてよ』

はいはい、撫で撫で撫で。

『突然だったけど気持ちよかったよ。ありがとう』

え?もういいんですか?

もう少し撫でさせてくださいよ。

撫で撫で撫で…

『もういいってば!』

『ほら、お酒臭い手を引っ込めて!』

自分の手を押し返す茶トラさん。

『ふぅ、こんなにお酒臭くなっちゃった』

鼻にシワを寄せて匂いを取っているようです。

『さ、お家に帰ろうっと!』

手すりから降りて駆け出した茶トラさん。

『酔っ払いに絡まれちゃったよ~っ!』

いや、酔っ払いではありませんよ!
絡んだのは事実だけど。

と言い訳した時には、茶トラさんの姿はすでに消えていたのでございました。

 

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